FreudenthalのLincosの系譜:バベルの廃墟から始まる人工言語の物語
A Genealogy of Freudenthal's Lincos

本稿は、Hans Freudenthalが考案した人工言語Lincos(Lingua Cosmica)の知的系譜を辿る2部作の第1回。17世紀のイギリスで生まれた「哲学的言語」の試みから、20世紀の数学論理学の発展まで、Lincosの先駆者たちを紹介する。John WilkinsやFrancis Lodwickらが設計した「実在文字」は、単語自体が対象の本質を表すという野心的な構想だったが、その分類体系は恣意的で、普遍性に欠けていた。本稿は、そうした試みの限界と、Lincosがそれらをどう乗り越えようとしたかを考察する。
実在文字で書かれた単語は、それ自体が対象の定義を内包しており、辞書も説明もなしに、その意味を推論できるはずだった。