「Sid Meier's Pirates!」 失われた傑作の正体 ジャンルに縛られぬ自由設計
The Lost Treasure of Sid Meier's Pirates

1987年に発売された『Sid Meier's Pirates!』は、ジャンル分類不能な異色作だった。剣術は格闘ゲーム風の複雑な操作、風は常に東から吹き、海戦は決闘で決着する。現代のゲームデザインから見ればミニゲーム集のように映るが、その根底には「テーマから機械仕掛けの世界を組み立てる」という、当時は当たり前だった設計思想がある。本稿は、この失われた時代のゲームデザインの魅力を、開発者へのインタビューや回想録を交えて掘り下げる。
「『Pirates!』はジャンルに固定されず、オープンワールドでもRPGでもなく、経済戦略や資源管理だけでもない。プレイヤーが明確なテーマ的立場を占めるための目標があり、その到達にシステムと摩擦を利用する。その設計の特異性は唯一無二で不可分だ——常に東風が吹くことや、敵船長との決闘が海戦に即勝利をもたらすことなどが思い浮かぶ——そして、それはビデオゲームのジャンル期待や、海賊テーマで着飾った既製のアイデアだけに駆動されているわけではない」